データセンターの可用性が低下する要因
データセンターは、サーバーを安全に管理・運用するための施設です。利用にあたって調べていくなかで、“可用性”という言葉を目にしたことがある方もいるかもしれません。
自社の重要なデータを預けるにあたって、信頼できるデータセンターを選びたいですよね。
そこで本記事では、データセンターの可用性が低下する要因と、その対策方法を解説します。
目次[非表示]
- 1.データセンターの可用性とは
- 1.1.耐障害性や信頼性との違い
- 2.データセンターの可用性が低下する要因
- 3.まとめ
データセンターの可用性とは
可用性(Availability)は、自然災害や機器の故障などの原因で、システムを停止させることなく、稼働しつづけるための指標です。ユーザーが使いたいときに、問題なく利用できるかを示す指標でもあります。
データセンターにおける可用性は、一定時間内に、システムを稼働できる時間の割合として“稼働率”と表現します。トラブルが発生した際に稼働しつづけられるように、故障に備えることは“冗長化”、冗長化によって得られる安全性は“冗長性”です。
なお、可用性は第三者のアクセスを防ぐ“機密性(Confidentiality)”や、データの改ざんや破損のリスクの低さを表す“完全性(Integrity)”の2つと合わせた、情報セキュリティマネジメントの3要素のうちの1つです。これら3つの頭文字をとって、“CIA”とよばれることもあります。
耐障害性や信頼性との違い
可用性と似た意味を持つ言葉に、耐障害性や信頼性が挙げられます。
耐障害性は、障害が起きたとしてもサーバーが稼働しつづけられるか、あるいはシステムが停止する場合はその時間を極力短くできるかを指し、信頼性は、サービス平均故障間隔の長さや機器の壊れにくさを示す指標です。
可用性は、耐障害性や信頼性とともに、ソフトウェアやコンピューターシステムの品質を表す“RASIS:レイシスまたはラシス”とよばれる5つの指標に含まれています。
▼RASISに含まれる5つの指標
- Reliability:信頼性
- Availability:可用性
- Serviceability:保守性
- Integrity:保全性
- Security:安全性
耐障害性が高いと稼働率が向上します。さらに信頼性が高いと、一度故障しても、次に故障するまでの間隔が長く、システムの停止回数も少なくなります。
耐障害性や信頼性は、可用性と切っても切れない相互関係にあるのです。
データセンターの可用性が低下する要因
データセンターの可用性が低下することには、さまざまな要因が考えられます。ここでは、主な3つの要因を解説します。
①自然災害
落雷や地震、洪水などの自然災害の影響で、サーバーが物理的に破損すると稼働が困難になり可用性が低下します。仮に、データのバックアップをとっていない場合、新たに復旧する必要があり、多くの時間を要します。
自然災害を想定した対策のためには、レプリケーションを取り入れ、稼働サーバーとは異なる遠隔地にある、別のデータセンターやクラウドを利用するのが有効です。
自然災害の影響で起こった停電によって、サーバーへのアクセスができなくなる被害や対策方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
『停電によるサーバーへの被害とトラブルを未然に防ぐための対策方法』
②電力障害
データセンターでは、さまざまな原因で電力障害が起こることがあります。電力障害によってサーバーに保存しているデータが物理的に壊れると、データの復旧が見込めません。
データセンターにとって電源は生命線です。電力障害による可用性の低下の影響を受けないためには、電力障害に備えて“UPS(Uninterruptible Power System:無停電電源装置)”を設置しているデータセンターを選ぶのがおすすめです。
③設備の老朽化
データセンターの課題の1つが、設備の老朽化です。
建設してから長期間経っているデータセンターは、設備が老朽化しており、高速化・低消費電力化を求めて建て替え工事が進められています。脱炭素電源確保のため、省エネ性能の高い設備や、新たな冷却技術の導入など、データセンターの省エネ化も図られています。
建設されてから新しいデータセンターを選ぶと、老朽化による設備可用性の低さの懸念は解消されるはずです。
データセンターの安全性については、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、データセンターの可用性について以下を解説しました。
- データセンターの可用性とは
- データセンターの可用性が低い要因
データセンターにおける可用性は、自然災害やトラブルなどでシステムを稼働しつづけるための指標、かつユーザーが問題なく利用できるかを示す指標です。
データセンターの可用性が下がる要因には、自然災害や電力障害、設備の老朽化などが挙げられます。可用性の低さによる影響を防ぐには、冗長性のあるデータセンターを選ぶのが有効です。
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