サーバールームの適正温度と温度管理の2つのポイント
サーバーの温度が上昇しすぎると、サーバーダウンや故障のおそれがあります。そのため、サーバーを管理するサーバールームの温度を適切に維持することは、サーバーの安全な運用に必要不可欠です。
しかし、「サーバールームの適正温度は何度くらいなのか」「適正温度を保つにはどうしたらよいのか」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、サーバールームの適正温度や、温度管理のポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.サーバールームの適正温度
- 1.1.データセンターの適正温度
- 1.2.湿度管理の重要性
- 2.サーバールームの適正温度を保つ2つのポイント
- 2.1.①空気の対流をつくる
- 2.2.②サーバールームの清潔を保つ
- 3.サーバーの冷却方法
- 4.まとめ
サーバールームの適正温度
サーバールームの適正温度は18~27度とされています。
サーバールームの適正温度を調べるにあたって、参考になるのがアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE:American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)のガイドラインです。
データセンターの適正温度
最新である2021年度版のガイドラインによれば、データセンターの適正温度は、18〜27度です。ただし、上記の数値は推奨値であり、データセンターの形態によっては、水準を下げた目標値が設けられていることもあります。
アメリカ暖房冷凍空調学会は、空調や換気に関する国際的学会であり、数年おきにデータ処理環境における適正温度に関するガイドラインを改定しています。
湿度管理の重要性
サーバーを安全に運用するためには、温度だけではなく湿度の管理も重要です。湿度が高くなりすぎると結露が発生し、サーバーの故障の原因となります。
一方で湿度が低すぎる状態も、静電気が発生しやすくなり、サーバーの故障を誘発するため望ましくありません。湿度の高い場所を避けるだけでなく、適切な湿度が保たれた環境にサーバーを設置することが大切です。
温湿度管理が難しいと感じる場合は、サーバーの管理に特化した施設であるデータセンターの利用をおすすめします。
データセンターには、顧客のサービス品質保証(SLA:Service Level Agreement)を守る義務があるため、温湿度管理においても信頼性が高いです。
サーバールームの適正温度を保つ2つのポイント
ここからは、サーバールームの適正温度を保つための2つのポイントを解説します。
①空気の対流をつくる
サーバーを適正温度に保つには空気の対流をつくり、熱の充満を避けることが重要です。
一般的には、サーバーは、内部の熱を冷却ファンから排出する仕組みであるため、周囲に十分な空間がなく、空気の対流が滞ると熱がこもってしまいます。うまく熱を逃がせなければ、サーバーが高温になり、故障につながる可能性があります。
サーバー同士を密着させたり、デスク下のような入り組んだ場所に設置する場合は配置を十分に検討する必要があります。
また、サーバーのホットアイル(※1)とコールドアイル(※2)を分けて、空気の流れを整えることも有効な方法です。
サーバーは前面から吸気した空気を背面から排出します。そのため、サーバーの向きを揃えて配置することで、ホットアイルとコールドアイルを分けることが可能です。
くわえて、サーバーの列同士の間に仕切りを設けることで、吸気と排気を物理的に分離させる“アイルキャッピング”という方法もあります。
MCデジタル・リアルティでは、サーバーラックの架列を密閉してホットアイルを囲うことで、暖気と冷気を分ける“ホットアイルキャッピング”を行っています。また、省エネ性能の高い壁吹き空調も完備しています。
※1・・・ホットアイルとは、サーバーが排出する熱気を逃がす通路のこと。
※2・・・コールドアイルとは、サーバーが取り込む冷気を供給する通路のこと。
②サーバールームの清潔を保つ
サーバーを清掃し、ほこりの蓄積を防ぐことも、適正温度を維持するために大切なことの一つです。
サーバールームに設置している場合は一般的にそこまでほこりを気にする心配はありませんが、人通りの多い場所など、ほこりが立ちやすい場所の場合はメンテナンスが必要になるケースもあります。
サーバーの吸気口からほこりが入り込むと、サーバーの内部や冷却ファンにほこりが付着して熱を逃がしにくくなってしまいます。そのため、サーバー本体や設置している空間にほこりを溜めないように、きちんと清掃する必要があります。
サーバーの冷却方法
サーバールームの適正温度を保つためには、サーバーの熱上昇を防ぐために、サーバーを冷却する必要があります。サーバーを冷却する方法は、主に3つあります。
▼サーバーの冷却方法の例
- 空調による冷却
- 水冷ヒートエクスチェンジャーによる冷却
- 液浸冷却
空調による冷却は、サーバールームの室温の適切な維持や、空気の対流の促進に役立ちます。一方で、水冷ヒートエクスチェンジャーによる冷却は、水のとおったパイプでサーバーを冷却する方法のことで、空調の補助的な役割を果たします。
液浸冷却は、サーバーを特殊な冷媒に沈めて冷却する方法で、これから普及する可能性があります。
サーバーの冷却方法について、詳しくはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、サーバーおよびサーバールームの適正温度について、以下の内容を解説しました。
- サーバールームの適正温度とは
- サーバーの適正温度を保つ2つのポイント
- サーバーの冷却方法
アメリカ暖房冷凍空調学会のガイドラインによれば、サーバールームの適正温度は18〜27度とされています。適切にサーバーの温度を維持するには、空気の対流をつくったり、ほこりを清掃したりして、熱がこもらないようにすることが大切です。
オフィスのサーバールームでも、このポイントを意識して、サーバーの温度を正しく管理することは可能です。ただし、より安全性を求める場合は、データセンターの利用をおすすめします。
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