自社サーバーをクラウド化するメリット・デメリットと注意点
クラウド化とは、自社サーバーのシステムやソフトウェアを外部のクラウドサーバーへ移行することです。
クラウドサービスを利用する企業は、働き方の多様化やセキュリティ面の影響によって年々増えています。総務省のデータによると、2019年にはクラウドサービスを利用する企業の割合は64.7%となっています。
自社サーバーのクラウド化を検討する際に「サーバーをクラウド化する際の注意点について調べている」「クラウド化のメリット・デメリットが知りたい」とお考えの担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、自社サーバーをクラウド化するメリット・デメリットや、クラウド化する際の注意点について解説します。
出典:総務省『令和2年版 情報通信白書 企業におけるクラウドサービスの利用動向』
目次[非表示]
- 1.自社サーバーをクラウド化する3つのメリット
- 1.1.➀コストや管理の手間が抑えられる
- 1.2.②BCP対策に有効
- 1.3.③テレワークにも利用できる
- 2.自社サーバーをクラウド化する2つのデメリット
- 2.1.①カスタマイズの自由度が低い
- 2.2.②情報漏えいのリスクがある
- 3.自社サーバーをクラウド化する際の注意点
- 4.まとめ
自社サーバーをクラウド化する3つのメリット
従来は、社内に物理的なサーバーを置いて、専用のソフトウェアをインストールする“オンプレミス型”が一般的でした。
しかし、オンプレミス型は、導入コストやトラブル対応などに課題があり、これらを解消するためにクラウドサービスが登場しました。
ここでは、自社サーバーをクラウド化する3つのメリットを解説します。
➀コストや管理の手間が抑えられる
クラウドサーバーには、物理的なサーバーや通信機器の導入費用、拡張費用などを抑えられる利点があります。また導入や管理に係る手間を削減することも可能です。
オンプレミス型を設置するには、物理的なサーバーや通信機器などを準備するための初期費用が必要です。また、容量が不足した場合は、容量の大きなサーバーへの引越しやハードディスクを増設する必要があります。
クラウド化を行えば物理的なサーバーや通信機器を必要としないため、初期費用が抑えられます。契約内容を変更すればクラウドサーバーを使用する容量を拡張できて、不要になればプランを変更して元に戻すことも可能です。
②BCP対策に有効
オンプレミス型の場合、地震や火災などの災害によってサーバーそのものが破損する可能性があるため、データを失うリスクは避けられません。
しかし、クラウドサービスで使われる物理的なサーバーは、災害に強いデータセンターに設置されています。災害によってオフィスが被害を受けても、クラウドサーバーのデータを守れるため、スムーズな復旧が期待できます。
なお、データセンターについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
③テレワークにも利用できる
サーバーをクラウド化することで、テレワークや外出先からでも利用しやすくなります。
閉じたネットワーク内で利用するオンプレミス型の場合、外出先から自社データへのアクセスが困難なケースがあります。一方、クラウドサーバーは、インターネット環境があれば利用できるため、場所を選ばずに自社データの閲覧が可能です。
外回りの営業担当者は、外出先からクラウドサーバーにアクセスして、仕事に必要なデータを閲覧・編集できるため、働き方改革や業務効率化などにもつながります。
自社サーバーをクラウド化する2つのデメリット
自社サーバーのクラウド化には、メリットだけでなくデメリットもあります。
①カスタマイズの自由度が低い
クラウドサーバーは、既存システムとの連携やインターフェースの変更といったカスタマイズを前提としていないため、自由度が低い場合があります。
オンプレミス型の場合は、既存システムとの連携やインターフェースの変更、機能の追加など、自社の運用に合わせて独自のカスタマイズができます。しかし、クラウドサーバーは、サービス内容によってはカスタマイズに制限があります。
クラウド化を検討する際は、社内で利用している通信機器やOSなどが利用できるか、自社独自のシステムが運用できるかなどを確認することが必要です。
②情報漏えいのリスクがある
クラウドサーバーは、インターネット上で情報を管理するため、不正アクセスや情報漏えいのリスクが考えられます。
クラウドサーバーを利用する場合、サービス提供事業者がセキュリティ管理を行うため、しっかりとしたセキュリティ対策が施されます。しかし、不特定多数の人がインターネットを介して接続するため、不正アクセスや情報漏えいなどのリスクが高くなります。
一方、オンプレミス型は社内にデータを持ち、閉じたネットワーク環境であるため、情報漏えいの可能性はクラウドサーバーと比べて低いです。ただし、自社サーバールームの入退室等のセキュリティが甘い場合は、情報漏えいする可能性があります。
サーバーをクラウド化する際は、扱う情報の重要性を加味したうえで、事業者のセキュリティ強度を把握したり、適切なセキュリティ対策を講じたりすることが必要です。
自社サーバーをクラウド化する際の注意点
自社サーバーのクラウド化には、2つの注意点があります。
①移行後のサポート体制を事前に確認しておく
クラウド化したあとにスムーズに業務に移るためには、サポート体制の確認が大切です。
自社サーバーからクラウドサーバーへの移行後に、操作方法が分からないと業務効率が下がるおそれがあります。
事業者によっては、クラウド化にあたって必要な基本操作に関するサポートを行うところもあります。サポート体制は事業者によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
②自社の目的に合ったサーバーを選ぶ
クラウド化する際は、自社の目的に合ったクラウドサーバーを選ぶことが重要です。
クラウドサーバーを選ぶ際は、自社に必要なサービスや機能があるかどうかを確認します。もし、自社が求めるサービスや機能が不足している場合は、契約内容の変更やサーバーの移行などが必要になります。
クラウドサーバーを選ぶポイントは以下です。
▼クラウドサーバーを選ぶポイント
- 容量・CPU
- サポート体制
- 料金体系
- 通信速度
- セキュリティ対策 など
自社にとって、必要なサービス・機能を明確にして、適切なクラウドサーバー・事業者を選ぶことが大切です。
まとめ
この記事では、自社サーバーのクラウド化について以下の内容を解説しました。
- 自社サーバーをクラウド化するメリット・デメリット
- クラウド化する際の注意点
自社サーバーのクラウド化には、初期コストが抑えられる、災害からデータを守れる、テレワークにも利用できるといったメリットがあります。一方、カスタマイズの自由度が低く、情報漏えいのリスクがあることがデメリットです。
また、クラウドサーバーは、円安の影響によって使用すれば安くなるというわけではありません。データ使用量に比例してコストが高くなるため、全体のコストの把握が難しい点や、障害が起きた際に自社で対応が行えない点にも考慮する必要があります。
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なお、クラウド化については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。