【IT環境の最適化】ハイブリッドクラウドのメリット・デメリット
企業にとって、顧客情報や従業員の個人情報、企画書など機密情報の適切な管理は避けて通れない重要な課題となっています。
サーバー・クラウドサービスなど様々な管理方法がありますが、単一の手法で管理している場合、自然災害などの緊急事態に発生しうるデータの消失や、時勢に伴うクラウドサービス利用のコスト増大などのリスクが考えられます。
そのような課題解決方法として、近年注目を集めているのがハイブリッドクラウドです。ハイブリッドクラウドとは、オンプレミスやクラウドサービス、ハウジング(コロケーション)など、複数のサーバー・サービスを組み合わせる運用形態のことを指します。
企業のサーバーを管理する担当者のなかには、「ハイブリッドクラウドの導入を検討している」「どのようなメリットがあるか知りたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ハイブリッドクラウドを導入することで得られるメリットと押さえておきたいデメリットを解説します。
目次[非表示]
- 1.ハイブリッドクラウドのメリット
- 1.1.①リスクの分散
- 1.2.②コストの削減
- 1.3.③IT環境に合わせた柔軟な対応
- 2.ハイブリッドクラウドのデメリット
- 2.1.①運用・管理が複雑になる
- 2.2.②運用方法によってコスト増加の可能性もある
- 3.まとめ
ハイブリッドクラウドのメリット
企業はハイブリットクラウドを導入することで、さまざまなメリットを得られます。ここでは、主に3つのメリットを紹介します。
①リスクの分散
ハイブリッドクラウドでは、複数のサーバー・クラウドサービスにデータを保管するため、特定のサーバーに依存することなく、セキュリティ面のリスクを分散できます。
▼セキュリティ・災害リスクの比較
セキュリティ |
障害・災害リスク |
|
クラウド |
ネットを介するリスクあり |
事業者対応 |
オンプレミス |
独自セキュリティ要件 |
自社対応 |
ハウジング
(コロケーション)
|
高いセキュリティ水準 |
災害に強い立地とスペック |
ハイブリッドクラウド |
それぞれのメリットを享受できる |
たとえば、緊急事態が発生し、自社運用のサーバー(オンプレミス)に保管していたデータが利用できなくなった場合でも、定期的にほかのサーバー・クラウドサービスにバックアップしておくことでデータの消失を防げます。特に災害の多い日本では、ハイブリッドクラウド利用は事業継続するための対策としても有効です。
②コストの削減
ハイブリッドクラウドを導入することで、維持費や人件費など、さまざまなコストの削減が期待できます。
▼コスト面の比較
維持費 |
人件費 |
|
クラウド |
利用するデータ量に比例する |
利用開始にあたって設定に必要な人件費 |
オンプレミス |
規模が大きくなると費用対効果も高い |
交代でサーバー運用・管理できる人材が複数人必要 |
ハウジング
(コロケーション)
|
規模が大きくなると費用対効果も高い |
データセンターのスタッフが対応することで最小限の人材が必要 |
ハイブリッドクラウド |
それぞれのメリットを享受できる |
たとえば、クラウドサービスを利用する場合、初期費用や人件費などは少額で運用できますが、保管するデータ量に比例して維持費も増加します。また円安といった時勢の影響も受けやすく、自社でのコントロールが難しくなるケースもあります。
そのような場合に、ハイブリッドクラウドを導入することで、利用頻度が低く増加量の多いデータのみ、データセンターに保存しておくことで、データ量に比例するコストを効率化することが可能です。
またサービスの拡張やデータ量の増加に伴いオンプレミスで管理が難しくなった場合に、一部データセンターを利用することで、環境構築のコストや人件費の効率化につながります。
③IT環境に合わせた柔軟な対応
ハイブリッドクラウドは、IT環境に合わせてデータの保管や利用など、柔軟に対応できます。
▼カスタマイズ性やアクセスの比較
カスタマイズ性 |
拡張性 |
外部からのアクセス |
|
クラウド |
限定的 |
高い |
可能 |
オンプレミス |
自由に構築可能 |
低い |
限定的 |
ハウジング
(コロケーション)
|
自由に構築可能 |
高い |
限定的 |
ハイブリッドクラウド |
それぞれのメリットを享受できる |
オンプレミスやハウジング(コロケーション)であれば、自社システムと連携しやすく、カスタマイズ性の自由度が高い点がメリットです。
しかし、新規事業の拡大やデータ管理の変更などによって、新たに機能・容量を追加するのは時間やコストなどの負担がかかります。
クラウドサービスであれば、事業者のサービスを利用するため、カスタマイズ性は限定的ですが、一方で決まった内容であれば時間をかけずに拡張や機能追加がしやすいというメリットがあります。また、社外にいてもアクセスしやすいことも特徴の一つです。
ハイブリッドクラウドであれば、両者のメリットを享受し、自社システムとの連携や機能の追加など、目的に合わせて運用方法を選べます。
MCデジタル・リアルティのデータセンターでは「ServiceFabric™」と呼ばれる相互接続サービスを提供しており、データセンターを利用するお客様は各クラウドへの接続を含むさまざまなエンドポイントへの接続を統合することができます。
ハイブリッドクラウドのデメリット
ハイブリッドクラウドを導入することで、リスクの分散やコストの削減、用途やIT環境に合わせた柔軟な対応が可能です。
一方、デメリットとして、運用・管理が複雑化する、運用方法によってはコストが上がる可能性があることが挙げられます。
①運用・管理が複雑になる
複数のサーバー・クラウドサービスを組み合わせることで、運用・管理が複雑になりやすいといえます。また、管理者だけでなく、利用する従業員も不便に感じるケースも考えられます。
それぞれのサーバー・クラウドサービスに対応できる人材の確保と利用時のルールを明確にすることが大切です。
社内のリソースやコストが限られている場合は、ハイブリッドクラウドの構築を効率化できるデータセンターを利用することも一つの手段です。クラウドへの閉域接続など相互接続をサポート可能なデータセンターであれば、複雑化した運用・管理を一元化し、またその構築に係る人材のアウトソースも一部可能になります。
②運用方法によってコスト増加の可能性もある
ハイブリッドクラウドのデメリットとして、IT環境の組み合わせや運用方法によって、コスト増加につながる可能性がある点も挙げられます。
例えば利用頻度は低いもののサービス拡張に伴い増え続けるデータをクラウドメインで管理する場合はデータ量に比例して運用コストも変動します。また
またオンプレミス管理の場合、サービス拡張の際に都度環境構築を行う場合、調達コストや人件費などが課題になる企業も少なくありません。今後の拡張を見据えた構築が難しい場合は、必要に応じて拡張可能なデータセンターやクラウドを選択するのも一つの手です。
自社のサービスの特性との相性を理解し、オンプレミスやクラウドサービスのメリットを活かせるように、ハイブリッドクラウドの導入前に試算しながら効率的に導入することが重要です。
なお、ハイブリッドクラウドを導入する際の課題と解決策については、こちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、ハイブリッドクラウドのメリット・デメリットについて解説しました。
ハイブリッドクラウドの導入には、機密情報の消失をはじめとしたセキュリティ面のリスク分散やコスト削減など、さまざまなメリットがあります。ハイブリッドクラウドを導入する際は、自社の事業やIT環境に適した運用方法を考えることが大切です。
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なお、ハイブリッドクラウドを導入するにあたって、こちらの記事でサーバー・クラウドサービスの組み合わせ例を紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。