サーバーのスケールアップとは? スケールアウトとの違いやメリット・デメリットを解説
アクセスが集中すると、サーバーに過度の負荷がかかり、処理速度が遅くなったり、サーバーダウンを招いたりする恐れがあります。安定してサービスを提供するためには、サーバーの負荷を軽減する対策が必要です。その代表的な対策方法として、スケールアップがあります。
しかし、「スケールアウトとはどこが異なるのだろうか」「スケールアップを選ぶメリットは何だろう」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、スケールアップとスケールアウトの違いや、スケールアップのメリット・デメリットなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.サーバーのスケールアップとは
- 2.スケールアップとスケールアウトの違い
- 3.スケールアップのメリット
- 3.1.①効果をはっきりと確認できる
- 3.2.②手間がかからない
- 3.3.③サーバー自体のスペックを上げられる
- 4.スケールアップのデメリット
- 4.1.①作業中はサーバーを停止する必要がある
- 4.2.②性能の向上に上限がある
- 5.スケールアウトのメリット・デメリット
- 6.まとめ
サーバーのスケールアップとは
スケールアップとは、サーバー自体のスペックを上げて処理能力を向上させることです。向上させるスペックの具体例は、以下のとおりです。
▼スケールアップで向上できるスペックの例
- メモリ容量
- ストレージ容量
- CPUのコア数
- データの転送速度 など
上記のスペックが向上すれば、サーバーがより大きな負荷に耐えられるようになり、サーバーダウンの回避につながります。
スケールアップとスケールアウトの違い
スケールアップとスケールアウトは、サーバーの性能向上という目的は同じですが、問題解決の手段が異なります。
▼スケールアップとスケールアウトの違い
種類 |
スケールアップ |
スケールアウト |
概要 |
|
|
スケールアップがサーバーそのもののスペックを高めることで処理能力の向上を図ります。対して、スケールアウトは、サーバーの台数を増やしてそれまで1台で行っていた処理を複数のサーバーに分担させることにより処理能力の向上を図ります。
データの更新が発生しない場合、複数台で処理を分担することによるサーバー間の更新のズレを気にする必要がないため、スケールアウトでの対策で問題ありません。
しかし、処理時にデータ更新が発生し、複数ユーザー間の整合性が大切なシステムであれば、1台のサーバーで処理を行えるスケールアップのほうが向いているといえます。
スケールアップのメリット
ここからは、スケールアップの主なメリットを3つ解説します。
①効果をはっきりと確認できる
スケールアップは、サーバーの機器本体の改善を行うため、このスケールアップでどの程度の効果があったのかが明確に分かります。
例えば、サーバーのメモリ容量を増やしたあとにトラブルが解決した場合、そのトラブルの解決のためにはどれだけメモリを増やしたらよいのかが把握できます。
②手間がかからない
増強作業を行うサーバーが1台であるため、手間がかかりにくい点もスケールアップのメリットの一つです。
スケールアウトは、増設したサーバーの分だけ手を加える必要がありますが、スケールアップは1台の増強作業だけで済みます。
③サーバー自体のスペックを上げられる
スケールアップは、サーバー自体のスペックを上げる必要のあるソーシャルゲームや、データベースのサーバーの改善にも適しています。
例えば、ソーシャルゲームのゲームデータの記録を複数のサーバーで分けることで処理能力の向上を図る場合、サーバーによってデータの更新にズレが生じる可能性があります。
しかし、スケールアップでサーバー自体のスペックを向上させれば、データの更新にズレを発生させることなく、サーバーの負担軽減が可能です。
スケールアップのデメリット
スケールアップには、実施時に留意しなければならない2つのデメリットがあります。
①作業中はサーバーを停止する必要がある
スケールアップでパーツの交換を行う際は、サーバーを停止しなければなりません。そのため、停止期間中のサービス提供の方法や、ユーザーへの周知などを含めて、計画的に行う必要があります。
②性能の向上に上限がある
物理的な制約や規格の問題で、サーバーのスペックの向上には限界があります。スケールアップでは対応できないほどサーバーに負荷がかかっている場合は、スケールアウトの適用が求められます。
スケールアウトのメリット・デメリット
どちらの方法でサーバーの負荷を軽減するのかをお悩みの方に向けて、ここではスケールアウトのメリット・デメリットも紹介します。
▼スケールアウトのメリット
- 作業中はサーバーを停止する必要がない
- 耐障害性が上がる
- サーバー機器を増やすほど全体の処理能力を向上できる
スケールアウトは、導入時にそれまで使用していたサーバーを停止しなくてよいため、停止時間を考慮せずに業務を行えます。
また、1台のサーバーに障害が発生しても、新しく導入したほかのサーバーで処理を継続できます。サーバーの数を増やした分だけ処理できるデータの量を増やせるため、全体の処理能力を向上できます。
▼スケールアウトのデメリット
- サーバーの分だけ保守費用がかかる
- 場所を取る
1台のサーバーの処理能力を高めるスケールアップと異なり、増設したサーバーの数だけ保守費用が発生する点がデメリットです。同様に、サーバーの設定作業も台数分必要になるため、負担になります。
さらに、増やしたサーバーを置く場所も必要です。スケールアウトを繰り返すと、やがてオフィス内のスペースでは不十分になる恐れもあります。
このような場合に有効なのが、柔軟な拡張性に対応できるデータセンターの利用です。「オフィスにサーバーを増設する十分なスペースがない」「スケールアウトによってサーバーの処理能力を高めたい」といった場合は、初めから拡張性のある環境でサーバーを構築することをおすすめします。
サーバーのシステムを外部のクラウドサーバーへ移行させるクラウド化のメリット・デメリットについては、こちらで詳しく解説しています。併せてご一読ください。
まとめ
この記事では、スケールアップについて以下の内容を紹介しました。
- サーバーのスケールアップとは
- スケールアップとスケールアウトの違い
- スケールアップのメリット・デメリット
- スケールアウトのメリット・デメリット
スケールアップは、コア数やメモリ容量などを増やして、負荷に耐えられるようにサーバーを高性能化することです。スケールアウトはサーバーの数を増やして1台にかかる負荷を分散し、軽減させることで高性能化を図ります。ソーシャルゲームやデータベースなど、複数ユーザー間におけるデータの整合性が重要なサーバーであればスケールアップが有効といえます。
一方で、導入作業中のサーバーの停止を避けたい場合や、今後もサーバーの負荷の大幅な増加が予想される場合は、スケールアウトが適しています。
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