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IOWN構想が目指す社会とは? 得られるメリットや実現できることもあわせて解説


インターネットや電話回線などの情報インフラは、私たちの生活に欠かせない存在です。しかし近年は、生活様式の多様化にともない、既存の情報インフラでは社会を支え続けるのが困難になってきているという課題に直面しています。

そこで、これからの時代を支える情報処理基盤として注目を浴びているのが、IOWN構想です。

本記事では、IOWN構想の内容とともに、私たちが享受できるメリットと何が実現できるのかを解説していきます。


目次[非表示]

  1. 1.1.IOWN構想とは
  2. 2.2.IOWN構想が求められる背景
  3. 3.3.IOWN構想のメリット
    1. 3.1.①消費電力を削減できる
    2. 3.2.②カーボンニュートラルの実現につながる
    3. 3.3.③高品質・大容量な通信環境を実現できる
  4. 4.4.IOWN構想が実現できること
    1. 4.1.①スマートモビリティ社会
    2. 4.2.②スマート農業
    3. 4.3.③高度な未来予測
    4. 4.4.まとめ


1.IOWN構想とは

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network:イノベーティブ・オプティカル・アンド・ワイヤレスネットワーク)構想とは、光電融合技術を中心に据えた、まったく新しい情報処理基盤の構想のことです。従来の情報インフラでは困難だった、多様性に富んだ新しい社会を実現するために、NTTにより提唱されました。

IOWN構想の実現に必要なのが、次の3つの技術的な柱です。

▼IOWN構想を構成する3つの技術的な柱

名称
特徴

オールフォトニクス・ネットワーク

  • ネットワークから端末までの通信に必要となるすべての要素に、光を用いた通信技術を導入する
  • 従来の電気信号ベースの通信と比較して、消費電力の低さ、通信の品質と容量、遅延の少なさの面で圧倒的に優れている


デジタルツインコンピューティング

  • 従来のデジタルツインの概念を拡張し、より高精度なシミュレーションと未来予測を実現する
  • 都市における人と自動車の動きといった、これまでの技術では困難だった組み合わせも再現・予測できる


コグニティブ・ファウンデーション

  • ネットワークサービスやクラウドなどの、あらゆるICTリソースを一元的に管理し、最適に制御する
  • 収集した情報をもとにシステムが自動で最適化できるため、例えば気象情報に基づき災害対策を立案するといった対応も可能となる


これらの技術の活用なくして、IOWN構想を実現し既存の社会基盤に変革をもたらすことはできません。



2.IOWN構想が求められる背景

IOWN構想が求められる背景としてあるのが、将来的に通信に要する電力が莫大になるという問題です。

スマートフォンやパソコンなど、ネットワークに接続可能なデバイスの爆発的な普及は、通信時に発生する情報量の増加も招いています。このまま情報量が増え続けると、それを処理する情報システム関連の消費電力量も膨れ上がり、もしかすると、将来的に電力供給が追いつかなくなる懸念さえ生じてきます。

また、それだけの情報量を処理するのに必要なシステムの性能が、そもそもこれ以上向上できない、つまり頭打ちとなる可能性も見過ごせません。

こういった事情から、既存の電気信号ベースの情報通信システムの刷新が求められ、その結果IOWN構想が提唱されました。



3.IOWN構想のメリット

IOWN構想が実現されると、以下の3つのメリットを得られます。


①消費電力を削減できる

IOWN構想で利用される光電融合技術によって、電力効率が飛躍的に向上するため、結果として消費電力の大幅な削減が見込めます。

光電融合技術は、これまで電子技術で制御してきたコンピュータのチップに光技術を組み合わせて、消費電力の削減と演算の高速化を両立させる技術です。これにより、将来的に通信量が増大したとしても、消費電力を抑えつつ滞りなくデータを処理することが叶います。


②カーボンニュートラルの実現につながる

IOWN構想による消費電力の削減は、カーボンニュートラルの実現にもつながります。

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの、排出量と吸収量を均衡させる試みのことです。発電所の稼働は温室効果ガスを排出する要因の1つのため、カーボンニュートラルを達成するには、少しでも消費電力を抑えなくてはなりません。

IOWN構想が現実のものとなれば、消費電力を大幅に削減できるため、カーボンニュートラルの実現に大きく近づきます。


③高品質・大容量な通信環境を実現できる

通信が高品質かつ大容量になるのも、IOWN構想のメリットの1つです。

光電融合技術は、通信時に発生する消費電力を抑えるだけではなく、通信の処理性能も大幅に向上させます。IOWN構想を提唱するNTTによると、IOWN構想における通信伝送時の容量は、現在の約125倍にもなると発表されています。くわえて通信時の遅延も非常に少ないため、エンドツーエンドでもストレスなくデータを送受信することが可能です。

出典:NTT『IOWN構想とは



4.IOWN構想が実現できること

最後に、IOWN構想が実現できることを3つ紹介していきます。


①スマートモビリティ社会

IOWN構想は、車の自動運転やロボットによる荷物の搬送といった、スマートモビリティ社会の実現に大きく貢献します。

都市部での交通・移動に変革をもたらすテクノロジーの総称が、スマートモビリティです。自動運転車やIoT機器のセンサーなどを用いて、安全かつ効率的な人・モノの移動を実現します。

IOWN構想なら、車やセンサーから得た大量の情報をリアルタイムで高速に処理できるため、スマートモビリティを安定して実現する基盤として最適です。


②スマート農業

IOWN構想によって実現できることには、将来の日本の食を支えうるスマート農業も含まれます。

人手不足や働き手の高齢化、疫病や自然災害の影響により、人力だけで農作業を完結させるのは困難になりつつあります。そういった背景から近年ニーズが高まってきているのが、機械やシステムを用いて自動化を図るスマート農業です。スマート農業で必要となる、カメラやセンサーから生成されるデータの処理や、ドローンや農機の遠隔操作などは、いずれもIOWN構想で実現できます。


③高度な未来予測

IOWN構想は、従来のシステムでは叶えられなかった、高度な未来予測すら実現します。

大量のデータを高速に処理し、なおかつそれを実行するICTリソースの一元管理を行うIOWN構想は、非常に正確な未来予測を実施できます。例えば医療分野において、患者のありとあらゆるデータをもとに、将来どんな病気にかかりやすいのかを予想し、発症の予防や迅速な対応に役立てることが可能です。



まとめ

この記事では、IOWN構想について以下を解説しました。

  • IOWN構想の概要
  • IOWN構想が求められる背景
  • IOWN構想のメリット
  • IOWN構想が実現できること

情報化社会の発展は、人々に多くの恩恵をもたらす一方で、消費電力の増加やコンピュータ性能の頭打ちなどの問題も抱えています。IOWN構想は、そんな問題を解消し、これからの社会を支えていく縁の下の力持ちとなりえるかもしれません。

IOWN構想についてより詳しく知りたいとお考えの方は、ぜひMCデジタル・リアリティまでお問い合わせください。

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