データセンターの地方分散とは?メリットとデメリットを解説
多くのデータセンターには、サーバーを常に安定して稼働させるための災害対策が施されています。とはいえ、大規模な地震や台風の被害に遭えば、深刻なダメージを負うことは避けられません。こうした背景から近年注目されているのが、データセンターの地方分散という選択肢です。
本記事では、データセンターを地方に分散させる目的を、メリットとデメリットとともに解説していきます。
目次[非表示]
- 1.1.データセンターが必要な理由
- 2.2.データセンターの現状
- 3.3.データセンターを地方に分散させるメリット
- 3.1.①BCP対策を強化できる
- 3.2.②バックアップサイトとして利用できる
- 3.3.③地方の活性化につながる
- 4.4.データセンターを地方に分散させるデメリット
- 4.1.①東京圏よりもアクセスが悪くなる
- 4.2.②追加の設備投資が必要となる
- 4.3.③高品質な回線を準備する必要がある
- 5.まとめ
1.データセンターが必要な理由
データセンターは、システムを構成するサーバーを稼働させるための環境を提供する物理的な施設です。大容量の電源や高速なネットワーク回線などを備えており、自社で管理する場合と比較して、より安定したサーバーの運用を実現できます。
今日では、クラウドやAIなどのサービスを提供する企業の増加に伴い、データセンターの需要も高まりつつあります。大規模なサービスを万全な状態で提供するには、サーバーを安定して稼働させられるデータセンターが欠かせないためです。
2.データセンターの現状
需要が高まっているデータセンターは、現状どのように利用されているのでしょうか。
データセンターは東京圏に集中している
まず注目すべきは、現在国内のデータセンターの多くが東京圏に一極集中しているという事実です。
データセンターの利用者の多くは、以下に挙げる3つの要素を重要視します。
▼利用者がデータセンターに求める3つの要素
- アクセスがよい
- 回線の遅延が少ない
- 通信環境が整備されている
データセンターを利用するIT企業は、ほとんどが東京都に本拠地を置いています。利便性を求めた結果、自然とデータセンターは東京圏に集約されたというわけです。
ただし、利便性は高い一方で、東京都で大規模災害が発生した際のリスクの高さは無視できない問題です。仮に、東京都が被災すれば多くのデータセンターが被害を受け、その結果、東京圏のみならず日本全体のITインフラが機能不全に陥るおそれがあります。
政府がデータセンターの地方分散を推進している
東京圏に一極集中している問題を踏まえて、政府は『デジタル田園都市国家構想』の一環として、データセンターをはじめとするITリソースの地方分散を推進し始めました。
出典:内閣官房『デジタル田園都市国家構想』
また、総務省もデジタルインフラの強靭化を目的として、データセンターや海底ケーブルの地方分散に取り組んでいます。データセンターの地方整備を支援するための補助金も出ており、今後もデータセンターの地方分散が推進されることは確実です。
出典:総務省『データセンター・海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業』
3.データセンターを地方に分散させるメリット
データセンターを地方に分散させると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。具体的には、次の3つが挙げられます。
①BCP対策を強化できる
データセンターを地方に分散させれば、BCP対策を強化することができます。BCP(Business Continuity Plan:ビジネス・コンティニュイティ・プラン)とは、企業が被災した際に被害を最小限に抑えるための施策を意味します。
たとえば、東京都に本社がある企業が地方のデータセンターにも重要なデータをバックアップしておけば、東京都で被災したとしてもそのデータを失わずに済むため安心です。
また、こうしたBCP対策を実践している企業は取引先からもより一層信頼されるため、事業の拡大にも有効です。
②バックアップサイトとして利用できる
BCP対策のみならず、バックアップサイトとして利用できる点もデータセンターを地方に分散させるメリットとして挙げられます。
機器の故障やデータ障害など、災害以外の要因によって重要なデータが失われる可能性はゼロではありません。そのようなケースに備えて、地方のデータセンターをバックアップとして用意しておけば、有事の際のデータ復旧をスムーズに進めることができます。
③地方の活性化につながる
データセンターの分散には、地方の活性化に貢献できるというメリットもあります。
データセンターの利用者が増えれば得られる利益が増加するうえ、データセンターを管理するための人員として雇用も生まれます。利益と雇用の創出は経済的な豊かさをもたらし、結果としてその地域全体の活性化につながるというわけです。
4.データセンターを地方に分散させるデメリット
一方で、データセンターの地方分散には以下の3つのデメリットがあることを忘れてはなりません。
①東京圏よりもアクセスが悪くなる
本社が東京圏にある場合、地方のデータセンターは東京圏のものよりアクセスが悪くなります。そのため、何らかの障害が発生した際は、時間をかけて地方まで向かう必要があり負担が増えてしまいます。
ただし、BCP対策としての利用であれば訪れる機会もそれほど多くないため、利用用途次第では負担を軽減することが可能です。
②追加の設備投資が必要となる
地方のデータセンターを新たに利用する際は、必要に応じてサーバーや関連する機器を購入しなくてはなりません。すでに会社で保有しているサーバーを使えば購入費用はかからずに済みますが、それでも搬入や設置作業は発生するため、追加の費用投資は必要となります。
③高品質な回線を準備する必要がある
遠隔地との通信を少ない遅延、いわゆる低レイテンシで実現するには、高品質な回線を準備する必要があります。
レイテンシとは、通信の際に発生する遅延時間のことです。遠距離の拠点同士でネットワークを構築するとなると、レイテンシの増加は避けられません。この問題を解決するには、高品質な回線を新しく準備しなくてはならないため、コストがかかるうえ作業の手間も増えます。
なお、MCデジタル・リアルティのデータセンターでは、ServiceFabric™Connectという専用の拠点間接続サービスを用意しております。
回線準備の手間を少しでも減らしたいとお考えのお客さまは、ぜひご検討ください。
ServiceFabric™Connect
まとめ
この記事では、データセンターの地方分散について以下を解説しました。
- データセンターが注目されている理由
- データセンターの現状
- データセンターを地方に分散する際のメリットとデメリット
災害対策の観点、および日本全体のITインフラ補強の観点から見て、データセンターの地方分散は、今後対応必須の事項になるのは間違いありません。
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