データセンターとは? クラウドと異なる点やメリットを解説
自社のデータ管理・サーバー管理において「セキュリティが完備された場所にデータを保管したい」「膨大なデータを保管するスペースがなくなってきた」とお悩みの担当者の方もいるのではないでしょうか。
これらのお悩みを解決するのが、サーバーやIT機器の設置・運用に特化した施設“データセンター”です。
データセンターは、強固なセキュリティにより情報の流出・盗難を防ぎ、万全な災害対策を講じることで、サーバーを安定的に稼働します。 本記事では、データセンターやサーバー環境の運用について検討されている方に向けて、データセンターの利用形態やクラウド・オンプレミスとの比較、データセンターを選ぶ際のポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.データセンターとは
- 2.ハウジングサービスとホスティングサービスの違い
- 2.1.ハウジングサービス(コロケーション)
- 2.2.ホスティングサービス
- 3.データセンターを利用するメリット
- 3.1.オンプレミスとの比較
- 3.1.1.1.システム・IT機器の構築コストを削減
- 3.1.2.2.強固なセキュリティ対策
- 3.1.3.3.万全な災害対策
- 3.1.4.4.非常時電源の確保
- 3.1.5.5.熱処理に優れた空調管理
- 3.2.クラウドとの比較
- 3.2.1.1.柔軟な設計が可能
- 3.2.2.2.災害時に備えたデータバックアップ
- 3.2.3.3.専用回線による高速通信の維持
- 3.2.4.4.トラブルへの早期対応が可能
- 4.データセンターを選ぶポイント
- 4.1.①24時間体制での有人監視
- 4.2.②災害リスクの少ない立地と耐震・免震構造
- 4.3.③給電停止に備えた電源の供給
- 4.4.④空調管理の冗長化
- 5.まとめ
データセンターとは
データセンターとは、サーバーやIT機器の設置を目的とした施設のことです。
IT機器を安定的に設置・運用できるように、大容量電源や通信回線、温度調整が可能な冷却装置などの設備が整っています。 また、地震や火災などの災害でIT機器が停止しないように、耐震・免震構造で建設されているほか、火災発生時に作動する検知システムや消火設備にも配慮されています。
一般的に、セキュリティの観点から、データセンターの所在地は公開されていません。さらに、災害リスクの少ない地域が選ばれる傾向があります。
ハウジングサービスとホスティングサービスの違い
データセンターの利用方法は、主にハウジング方式とホスティング方式に分類できます。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
ハウジングサービス(コロケーション)
ハウジングサービスとは、データセンターがサーバーやIT機器を設置する物理的なスペースを貸し出して、利用者側が自ら運用するサービスのことです。コロケーションとも呼ばれます。
ハウジングサービス(コロケーション)では、サーバーやIT機器を収納するためのスペースをラック(棚)単位で利用するのが一般的です。ラックのサイズや数は、ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできます。
また、データセンターによっては、専門スタッフが24時間駐在しており、遠隔地であってもサーバーなどの機器管理やトラブルシューティングに24時間365日即時対応できるのが特徴です。ハウジングサービスで発生する料金には、スペース代やラックの利用料のほか、電力使用量や回線利用料などが含まれます。
ハウジングサービス(コロケーション)には、次のような特徴が挙げられます。
- 復旧支援やトラブルシューティングを代行してくれる
- セキュリティが優れており、安定した高速回線が利用できる
- プロによる厳重な警備体制が整っている
- 万が一に備えた自家発電設備が整っている
ホスティングサービス
ホスティングサービスとは、サービスを提供する事業者がインターネットを経由して、データセンター内に用意したサーバーやネットワーク機器を利用者へ貸し出すサービスのことです。レンタルサーバーとも呼ばれます。
サービスの利用者は物理的スペースと併せて、データセンターに用意されたサーバーやIT機器を借りることができます。利用者側でIT機器の調達が不要なため、サーバー導入費用を抑えられるのが強みです。
一方、データセンターが用意したサーバー環境やIT機器を使う必要があるため、ハウジング方式と比較すると自由度は低いといえます。
ホスティング方式のサービスには、以下のような特徴が挙げられます。
- IT機器の調達にかかるリードタイムを短縮できる
- サーバーの構築やメンテナンスにかかる費用を削減できる
- IT機器の運用・保守管理をデータセンターに任せられる
- 必要な容量だけ契約できる
データセンターを利用するメリット
ここからは、オンプレミスやクラウドと比較した場合、データセンターにどのようなメリットがあるのかを解説していきます。
オンプレミスとの比較
オンプレミスとは、利用者がサーバーやIT機器を自社で用意して、運用・保守管理まで行うことを指します。
オンプレミスと比較した際、データセンターには次のようなメリットがあります。
- システム・IT機器の構築コストを削減
- 強固なセキュリティ対策
- 万全な災害対策
- 非常時電源の確保
- 熱処理に優れた空調管理
1.システム・IT機器の構築コストを削減
データセンターでは、サーバー環境の構築や通信などが短納期で利用できます。そのため、システム構築やIT機器の構築・調達に必要な期間やコストを削減できます。
また、IT機器の保守管理も任せられるため、自社エンジニアの業務負荷を軽減して、本来のコア業務に注力してもらえるようになります。
2.強固なセキュリティ対策
データセンターでは、大企業の機密情報を安全に保管・管理するという性質上、強固なセキュリティ体制が整っているのが一般的です。
たとえば、物理的セキュリティ対策として24時間にわたる厳戒な警備態勢が整えられているほか、入退室管理をIDやキーカードで行うといった対策が講じられています。
3.万全な災害対策
データセンターでは、耐震・免震構造による震災対策が徹底されています。火災の検知システムや消火システムも万全で、水害対策や落雷対策などのさまざまな自然災害に対処しています。
これらの災害対策は、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を実現させる施策としても注目されており、大震災によるサーバー停止やIT機器の物理的な破損などのリスクを抑制できます。
4.非常時電源の確保
データセンターは、サーバーを稼働させるために電力供給や通信が安定しており、停電対策も講じられています。
非常用発電装置や予備の電源も用意されているため、仮に大規模な停電時が起こっても、サーバーやIT機器を停止することなく稼働し続けることが可能です。自社内でのサーバーダウンによって顧客情報が失われるリスクも回避できます。
5.熱処理に優れた空調管理
データセンターのサーバールームは、温度管理に優れた設備が整っており、温度上昇によるサーバーダウンを防止しています。
一般企業の場合、サーバーに冷却装置が備わっていても、夏場になると自社内で熱処理ができずにサーバーダウンするおそれもあります。
空調設備が整っているデータセンターであれば、サーバーを安定的に稼働できる温度を維持することが可能です。
クラウドとの比較
クラウドとは、コンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、サービス提供者である事業者が所有するネットワーク経由で必要な分だけ利用するサービスのことです。
クラウドの種類
クラウドは主に次の3つの種類に分類されます。
- IaaS(Infrastructure as a Service)
情報システムの開発やソフトウェアの稼動に必要な仮想サーバーなどの機材、またはネットワークなどのITインフラをインターネット上のサービスとして提供する形態のこと
- SaaS(Software as a Service)
すでにできあがっているアプリケーションやソフトウェアの機能をインターネット経由で提供する形態のこと
- PaaS(Platform as a Service)
アプリケーションを開発・稼動するためのハードウェアやOSなどのプラットフォーム機能をインターネット経由で提供する形態のこと
これらのうち、IaaSはホスティングサービスと似た仕組みです。IaaSと比較した場合、データセンターには次のようなメリットがあります。
- 柔軟な設計が可能
- 災害時に備えたデータバックアップ
- 専用回線による高速通信の維持
- トラブルへの早期対応が可能
1.柔軟な設計が可能
クラウドの場合、サービスを提供する事業者の仕様内での利用が一般的なため、自社でのカスタマイズ性が低いという特徴があります。
一方、データセンターは、自社の用途に合わせてIT機器やネットワークを選べます。開発したいシステムに対して適したIT機器を調達したい場合には、自社で自由にIT機器を選定できるハウジング形式を利用できます。
また、新たなサーバーやシステムを既存システムと連携したい場合も、カスタマイズ性の高いデータセンターの利用が適しているといえます。
なかには、ハウジング(コロケーション)とオンプレミス、ハウジング(コロケーション)とクラウドなど、ハイブリッドクラウドを利用する方法のほか、クローズドでセキュリティ性の高いクラウドへの接続ができるデータセンターもあります。
2.災害時に備えたデータバックアップ
将来起こりうる大型地震や災害に備えて、大都市圏から離れた場所でデータを保管するデータセンターもあります。
たとえば、東京都に本社を構えている企業が東京都内でデータを管理するクラウドを利用した場合、東京周辺で起きた災害によってシステム障害が起こる可能性があります。
一方、データセンターであれば、地理的に離れた場所でレプリケーション(※)することも可能となります。
※レプリケーションとは、万が一に備えて同じネットワーク内、または遠隔地に設置したサーバーにまったく同じデータをリアルタイムに複製する技術のこと。
3.専用回線による高速通信の維持
一般的なブロードバンド回線を利用して通信を行うクラウドとは異なり、拠点間を専用回線でつなぐデータセンターでは、つねに高速通信が可能です。
また、ユーザーが一斉アクセスした際も、内部ネットワークが負荷の分散を行うことにより、パフォーマンスが低下するリスクを回避できます。
4.トラブルへの早期対応が可能
利用しているクラウドサービスがトラブルによって停止してしまった場合、サービスを提供する事業者が復旧対応を行うまで待機するしかありません。
一方、データセンターであれば、自社がデータセンターへ足を運んで障害ポイントを確認したり、復旧作業を行ったりすることが可能です。
データセンターを選ぶポイント
災害大国とも呼ばれる日本では、災害リスクの少ない土地にあるデータセンターを選ぶことで、より安心・安全にサーバーを稼働できます。ここでは、データセンターを選ぶ際の4つのポイントを解説していきます。
①24時間体制での有人監視
24時間有人監視をしているデータセンターであれば、物理的な情報の盗難や持ち出しなどのリスクが抑制されます。
データセンターによって監視体制は異なりますが、特に次の3つに注目します。
- 24時間・365日有人対応で監視している
- 入館時に事前申請制度を行っている
- ID認証、指紋認証、生体認証などを複合的に行っている
上記の要素を満たしているデータセンターであれば、より安全な環境でサーバーを稼働できます。
②災害リスクの少ない立地と耐震・免震構造
災害の多い日本では、水害や地震のリスクが少ない地域にデータセンターが位置していること、さらに緊急時のアクセス性も検討のポイントになります。
また、震災時のリスクを考えた際、地震による被害を最小限に抑えるための耐震・免震の構造が万全であることが重要です
国土交通省の『わがまちハザードマップ』を活用することで、日本各地域における震度被害や火災被害などの災害リスクを確認できます。
たとえば、本社や支社が大都市圏に集中している場合、被災を避けるためにも、都市部からできるだけ離れた場所にあるデータセンターを選ぶことが望ましいといえます。
出典:国土交通省『わがまちハザードマップ』
③給電停止に備えた電源の供給
万が一、大規模な停電が起こった場合、複数の変電所から送られた高圧を受電するデータセンターであればサーバーの安定した稼働が期待できます。
また、電源対策を徹底しているデータセンターには、一時的に電源を供給する装置であるUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)や自家発電システムが備えられています。
自家発電システムがある場合、備蓄されている燃料で何時間ほど給電されるのかを確認することも大切です。総務省の『災害時における情報通信の確保に関する調査』は、非常用電源について、できるだけ長時間(48時間以上)稼働できる設備が望ましいとしています。
出典:総務省『災害時における情報通信の確保に関する調査』
④空調管理の冗長化
徹底された空調管理のもと、サーバーの熱対策を行っているデータセンターを選ぶことで、停電が起こった場合でもサーバーの熱暴走を予防できます。
たとえば、間接外気冷房型の空調システムでは、外気を室内に侵入させずに、サーバー室内の湿度を適切に保つことが可能です。
データセンターを選ぶ際は、停電・節電時にも適切な空気を送り込める熱排気構造になっているか、サーバールームが冷気を取り込める構造になっているかなどをチェックします。
まとめ
今回はデータセンターの基本的な知識について、以下の項目で解説しました。
- データセンターの概要
- データセンターの特徴
- データセンターを利用するメリット
- データセンターを選ぶポイント
物理的なスペースで利用者のサーバーやIT機器を管理するデータセンターは、強固なセキュリティ体制と徹底された空調管理システムのもと、サーバーを安定的に稼働できるメリットがあります。
また、災害時のインフラの停止やサーバーダウンにも耐えられるように、耐震・免震構造といった万全の対策が講じられています。
データセンターを選ぶ際は、24時間365日有人で監視が行われているか、災害リスクの少ない立地にあるか、給電停止に備えた電源の供給が可能かなどに注目します。
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